僕のとなりは君のために
「ねぇ、なんで僕の名前とこの学校を知ってるんだ?」

「あんたが寝てる間に、学生証を見たんだ! この野郎――」

君が僕を中庭に連れ出すと、容赦なくその鉄槌のような拳を振り下ろした。

避けようとして左に身体を向ける。
しかし、動きは読まれた。

君のもう一方の鉄槌がとっくに待ち構えたかのように、僕の避けた方向へ振り下ろし、頭に命中した。

脳天直撃だった。

「いてぃぃ!」

あまりの痛さに、思わず頭を抱えたまましゃがんだ。

視線を上げえると、中庭に建てていた銅像と目が合った。

彼は錆びた目で僕を見る。首にぶら下がったプレートに刻まれた文字は、もう読むことができないくらい歪んでいる。

彼は一代目の理事長らしく、僕が入学当初からすでに老人だったけど、二年を経ってもやはり彼は老人だった。

「おい、どこ見てる?」
背後から君の声がした。振り返ると、期が指の骨を鳴らしている。

“バリバリ、バリバリ”と

「話しな」

「えっ?」

「昨日のことをすべて話せって言ってんだよ!」
ビンタが来た。
背を縮めて、避けた。

この人は、手を一緒に振り上げなきゃ会話できないのかもしれない、とそのとき本気でそう思った。

「さっさと話しな」
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