僕のとなりは君のために
海の見えるオーブンカフェで休むことにした。

木の匂いがする真新しい椅子に、僕は腰を下ろした。

カフェは全体的に丸く作られていて、その真ん中にクリスマスツリーが飾られている。

シックの中に、明るい雰囲気が入り交じっていた。

僕はチラチラと君の顔を盗み見しては目を逸らす。

異様な喉の渇きを覚え、店員の持ってきた水を一気に飲み干した。

君は両手で顎を支えながら、何も言わずに、まるで人形劇でも見てるように無表情で眺める。

「ご注文はお決まりでしょうか」

店員の声が聞こえた。

「コーラとチョコパフェ。君は?」

僕はきわめて明るい声で、さりげなく君に話し掛けた。

君は僕を鋭い眼光で睨むと、「死にたい?」と口にした。

「え?」

「紅茶にしなさい」

「え? でも……」

「紅茶にしなさい!」

「はい…………」

「レモンティー二つ」

君は笑顔で店員に注文を言いつけ、また無表情に戻り、僕を睨み始めた。
すごい変わり身の速さだ。

しばらくして店員は紅茶を持ってきた。

ただならぬ空気を感じていたのだろう、「お待たせしました」と一言を添え、早い手つきで品を僕たちの前に並ぶと、急ぎ足で奥へ引っ込んでしまった。

僕は完全に一人取り残された気分になった。

紅茶をすすりながら君を見る。

君は紅茶に砂糖をいれ、銀色のスプーンでゆっくりとかき混ぜながら、

「で?」

とたった一文字を言い放った。

「で、って?」

「ストーリーの結末のこと! とぼけてるの?」
君が一喝した。
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