僕のとなりは君のために
僕は部活動には所属していない。
集団生活にいつまでも慣れない僕は、自然と一人の遊び場を探すようになった。
その結果、行きついたのはゲームセンターだった。

毎日のように、放課後はゲームセンターに行き、格闘ゲームに没頭していた。
ゲーム機のレバーやボタンをタイミングよく押していき、自分でも驚くほど器用にゲームキャラを操ることができた。そうやって僕はゲームの虜となった。

そしてその日がやってきた。

あの日。そう。ちょうどクリスマスの前日だったんだ。
特別の日の前日だったのでよく覚えている。学校の冬休みを利用して、僕はアルバイトに出かけた。

その帰りだった。

稼いだ金もほとんどゲーム代として消えるだろうと、思いながらも僕は馴染みのゲームセンターに入っていった。

いつも好んで遊んでいた台に座り、コインを入れる。
ゲームが始まった。適当なキャラを選び、一回だけ遊んだら帰るつもりだったけど、思わぬ対戦者が多かった。

「市川くん？」

連戦連勝の中、僕の隣りにまるで幸運の女神が降り立つように、奈美子が僕のそばに現れたのだった。

「宮木さん・・・・・・」

気配がしなかったので、驚いた。しかも、こんな場所で会うとは露ほど思ってなかったのだ。

奈美子は楽しそうに、「ゲーム強いのね」と話しかけてくれた。

「うん・・・・・・このゲーム好きだから・・・・・・」

僕はそのとき、ひどい窮地に追い込まれた感覚に陥っていった。
突然のことなので、どう話を続けたらいいのかわからなかった。
奈美子の顔から視線をそらし、自分の靴を見つめた。

幸い、また諦めの悪い乱入者が対戦を求めてきた。これでゲームに集中できる。
その間に奈美子が帰ってくれることを、ゲームしながら心の中で少し期待した。
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