【完】アタシは3代目。


「それじゃ、行ってくる」


「行ってらっしゃい。お嬢」


家を出ると、壁に寄り添う大地が見えた。


「大地、何してる?」


「咲を待ってた」


「どーも」


何で素直に、『ありがと』って言えないんだろ。


バカだ。あたし。


「行くか」


そう言って大地は、歩き出した。


「ねぇ」


「どうした?咲」


「この手、何?」


あたしに差し出された、大地の大きな手。


「手、繋がねぇの?」


「繋ぐ」


あたしは大地の手を、強く繋いだ。


「咲は、聞きたいことあるんじゃねぇの?」


「まあね」


聞きたいことって言うのは、昨日桜庭さんが言ってたこと。


< 138 / 213 >

この作品をシェア

pagetop