【完】アタシは3代目。
「それじゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい。お嬢」
家を出ると、壁に寄り添う大地が見えた。
「大地、何してる?」
「咲を待ってた」
「どーも」
何で素直に、『ありがと』って言えないんだろ。
バカだ。あたし。
「行くか」
そう言って大地は、歩き出した。
「ねぇ」
「どうした?咲」
「この手、何?」
あたしに差し出された、大地の大きな手。
「手、繋がねぇの?」
「繋ぐ」
あたしは大地の手を、強く繋いだ。
「咲は、聞きたいことあるんじゃねぇの?」
「まあね」
聞きたいことって言うのは、昨日桜庭さんが言ってたこと。