【完】アタシは3代目。


「そんなの、アンタを殺すために決まってるでしょ」


そう言ってあたしは、大門咲に近付いた。


けど、ナイフを持って近付いても、大門咲は逃げようとしない。


「何で…。何で逃げないの!?」


あたしが問い掛けると、大門咲はあり得ないことを言った。


「アンタが、そんな人じゃないって信じてるから。そんな物騒な物で、あたしを殺らないって信じてるから」


この女、どこまでお人好しなんだろ。


馬鹿すぎて、笑うことも忘れるっての。


「ばっかじゃない。あたしがそんなに、ユルいやつだと思ってるなら、気を付けた方が良いわよ」


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