【完】アタシは3代目。
後ろを振り向いてみると、ゆりちゃんはお父さんの膝の上で寝ていた。
「……何で、ゆりちゃんだけ」
「ん?何か言ったか?」
「ううん、別に。連れていくね」
やばい。
ここから早く離れないと…。
泣いちゃいそうだよ…。
「咲。後で俺の部屋にこい。会わせたいやつがいる」
「わかった」
アタシはゆりちゃんを抱き抱えると、早歩きで部屋に連れていった。
ゆりちゃんの部屋には、ナツと仁がいて、アタシの顔を見て驚いたみたい。
「お嬢…。何で、泣いてるんすか?」
「別に、関係ない、でしょ。早く車に乗せてやんな?ゆりちゃんが起きたら、喜ぶぞ!」
「お嬢…」
「アタシはお父さんに、呼ばれてるから。行くね」
アタシはそう言って、逃げるように部屋を後にした。