始まりはいつも
[ハルは木の葉がほしかった。

アキの木の葉がほしかった。

ほしかったから、とってしまった。

とってしまったら、それはもう、ほしかった頃の木の葉ではなくなった。

あの木とともにあるからほしいと思ったのだ。

あの木とともにあるからきれいに見えたのだ。

戻すことは敵わなかった。

帰る場所を無くした木の葉は泣いていた。

もう、遅かった。

なぜなら、その木は――」

(ザシュッ)


(ドォォォ)

(〈ぅぇ~ん。ぅぇ~ん。ぅ、ぅ……」)

「皮肉にも、御神木は、母親であるはずの由緒正しき樹木からつくられた剣によって、

切り落とされた。」

〈次はわたしだな。」

[大丈夫か?なんなら俺が」

〈この景色を見ているよりはましだ。それに、三人で読めって、書いてあった」

[……頑張れ。」

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