始まりはいつも
三階
〈……ここにある書物、ぜんぶ読んでいいのか?!」

[嬉しそうだなあ」

〈二階にあったその本は開けるか?」

[一頁だけ。読むぜ。

戻すことはできなかった。

帰る場所を無くした木の葉は泣いていた。

もう、遅かった。

なぜなら、その木は――」

(ザシュッ)

(鳥の飛び立つ音)

「……いま、」
[俺にもきこえた。誰かが、本の中にあった木を、切ったんだ。」

「誰かが泣いてる声も、きこえた気がする…」

[よし。とにかく残りの一冊を見つけよう」

「こんなに難しい本がいっぱいなのに、探せるの?」
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