始まりはいつも
「御神木には四つの季節が宿っていた。

ハル、ナツ、アキ、フユ。

季節は巡る。

どこに行くでもなく。

巡ってはもどり、巡ってはもどり。

まるで果てしない追いかけっこだ。

ハルはずっとおもっていた。

アキのことを、おもっていた。

アキに会ってみたかった。

どうしても会いたかった。

どんなことをしても。」

[なあ。どういうことなんだ?清井寺。」

〈稽古中に、わたしが、誤って御神木を切ってしまったのだ。ほら、あそこ」

[あんなちんまいガキが、木刀持って」

〈そのちんまいガキがわたしで、木刀もあれと同じもの。二冊目に入ったぞ。折助。」
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