知的な竹内くん
教室

それは私が泣いていたからですか?


「っ、ふぇ…」

ただ、涙がとまらない私は教室で1人、泣いていた。

「っ…なん、で…?先輩…」

さっき保健室の前を通ったときになにやら
声が聞こえて近寄って見ると
それはベッドであたしの彼氏の先輩と可愛いと噂の
鈴ちゃんがHをしていた。

思い出すだけで悲しさと苛立ちがつのる。

ーあたし、愛されてなかったのかな…

思えばいつもそうだった。
浮気されては別れていた前の彼氏たち。

「はぁ…」

溜め息が出るのに涙は止まらなくって
やりきれない思いが胸を締め付けた。

ガラッ

そのとき勢いよく開いた教室の扉。
ハッと目を向ければ黒縁の眼鏡をかけた竹内くんが
立っていた。

「っ…たけ、うちく…ん」

ごしごしと目をこすって彼に目を向ければ
彼は
「どうも」と言って机から教科書を取り出した。

…相変わらずそっけないひとだな…

他人には興味がないらしい彼はいつも独り。

あたしがぼぅっと彼を見つめていると
彼は扉を開けた後振り返って

「ー目。冷やした方がいいですよ。腫れちゃいます」

そう言って出ていった。

ーなんだ。いいところあるんだ。
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