社長には堕とされません
「はい。存じております」
「ですから私は「向かって」
1人で帰れるって言っているのに車は私の家へと向かって走り出してしまった
……………。
「ご迷惑をお掛けします」
今村さんに頭を下げると
「いいんですよ」
バックミラー越しにニコッと微笑んでくれた
静かな車内の中で窓の外に広がる夜の街を目で追っている内に
隣に社長がいることも忘れてウトウトとしてしまった
『古都は頑張りすぎだよ』
優しく私の髪を撫でて離れていく大きくて温かい手。
待って…行かないで……私を置いて
「行かないで!!!!!」
バッと起き上がると
「……え?」
自分の家のベッドの上だった