社長には堕とされません



でも他に着ていくドレスなんて無いし……お父様がプレゼントしてくれたドレスを着ないわけにはいかないから



「仕方ない…、」



諦めてトレンチコートを羽織り



パーティ用のヒールと鞄を手に持って玄関を出ると




「…寒っ」



冷たい風が頬を掠めて首を縮めた



もう季節はすっかり冬。



私の大嫌いな冬……。



マンションの通路から見える真っ黒な冬の空をぼーっと見つめていると




「迎えに来たよ」



いつもより少し高級なスーツを着た社長が微笑んでいた


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