ずっと、キミの隣に。


「………1年?」

また聞いてきた質問に、あたしは再び小さく頷いた。

すると彼は目を見開いてにっこり笑った。


「まじかぁー!同じじゃんっ!」

彼の笑顔……

笑顔がまぶしいって、
こういうことなのかな…

だれでも幸せにしそうな笑顔。


その笑顔をみて、あたしもつい口角が上がる。



『…でもこの電車……ち、違いますよ?』


あたしがそーっと言うと、彼は最初、
理解してなかったみたいだけど

停車駅の一覧表をみて、ぁあーっと崩れ落ちた。




どんどんスピードを上げていく電車。

離れていく学校。

初日から完全遅刻。
だめじゃん…。入学式に遅刻なんて。


あたしはお母さんに"乗り間違えた"とメールをして、ため息をついた。


"ひとりで学校いく"なんて意地張ってないで、お母さんと一緒に学校行っていればよかった。

あたしはひどく後悔した。


そして結局、彼に恐がっていたあたしは
隣に座らせてもらった。

恐がってるひまじゃない。

むしろ遅刻仲間が増えた気がして、どこかホッとした。


俯いてるあたしの顔を、

「何ため息ついてんの?」

へっちゃらな顔で覗き込む彼。


…よく平常心保てるよね……。



『こんなはずじゃなかったのにぃ〜…』




――――――プシューッ





ドアが勢いよく開く音に反応して顔をあげると、体が引っ張られる感触がした。


彼が男の子の力で、あたしを電車から連れおろした。


『ちょっ!ここどこよっ…!』

「わかんねーけど、降りてみようぜ!」


無謀すぎる…


あたしは腕を強く握られたまま肩にスクバを掛け直して、彼に必死に着いていった。

どこかわからない駅に降りて、これからどうするの?



でも彼の大胆な行動に、少し安心感が湧いた。





―――名前も知らないのに。


―――数分前に出会ったばかりなのに。




―――彼はあたしを、動かしてくれた。









あたしの高校生活

どうなっちゃうのー?!





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