ずっと、キミの隣に。


「サヤちゃんかぁー。サヤでいい?」

またあの"笑顔"を見せてきた。

その笑顔をみるたび、心がドキッとする。

あたしは小さく頷いた。



「とりあえず、係員にどの電車乗ればいーか聞いてみよっか?」

ショウのてきぱきな行動に安心感が湧く。

『そうだね…聞いてみよっか。』



あたりを見回すと、通勤時間になったのか、人がどんどん駅に入ってきた。


「じゃあ行こう、サヤ」


そう言うと、ショウはあたしの左手に右手を絡めてきた。


大きくて細いその手で、包まれるあたしの小さな手。


『えっ………!?』


ショウはあたしの顔を見て、ふっと笑った。

「なーに照れてんだよ。ラッシュで人ごみん中歩いたら、離れ離れになっちゃうだろ。」

ショウはそう言いながら窓口に向かって歩き始めた。


『ぁっ…そ、そうだよね……』

その小さいあたしの呟きは、きっとショウには聞こえなかっただろう。



それにしても………人がすごい。


たまに人がいて離れ離れになっちゃいそうなあたしたちだけど、そのたびにショウのあたしの手を握る力が強くなるのが、なんだか恥ずかしかった。


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