追憶の淡恋詩
~第3章~
私はとりあえずだが、彼女に近づいた。
私の顔と名前とどこの部署で働いているか分かってくれればそれでいい。

女性を落とすには色々な段階を踏まなければならない。
焦ってはいけないのだ。



あの日以降、普段の生活に戻っている。
しかし、やっている事は変わらないが、気持ちの部分はだいぶ変わった。

恋をしているおかげか、何事も意欲的になっていた。



仕事の昼休み、私はいつものように社員食堂に行く。
休み時間は人それぞれだから、そこに彼女がいる時といない時がある。

私はもうこの時「今日のメニュー」を確認するよりも、彼女がいるかいないかを確認するようになっていた。


ある日、彼女は一人で昼食を食べていた。
私も一人だったので、ここは積極的に彼女の向かいの席に座る。

この限られている時間をどう使っていくか?
1時間しかない時間を有効に使わなくてはいけない。



「あの日」の出来事を彼女もちゃんと覚えていたようで、会話は弾んだ。
お酒が好きだったのは分かっていたので、冗談っぽく誘ってみた。

彼女も冗談と受け取ったのか、あっさりと承諾してくれた。
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