プレイボーイ×天然な幼なじみ


「まー、心配するのもわかるな」

「それってどういう意味?」

「だってお前、小四の時に鍵を溝(ドブ)に落っことしたもんな!」

 ……あ。そうだった。

「っていうか、なんで覚えてるの?」

「覚えてるさ。あん時のぱにくったお前の顔、いつになくかわいかったもん」

 私は、かわいい、って言葉に反応して、体が熱くなるのを感じた。

 今までだったら、鳥肌が立つくらいだったのに。なんなの、こいつとか思ってたのに。

 やっぱり、私の中で龍太の存在が大きくなってきている…。

 でも。

 今更、好きだって気付いても遅いってことはわかってる。龍太は今、麗さんのカレシだし、ただの幼なじみだ、って皆に言って聞かせてた。

 今更、過去をやり直すことなんてできない。

 私の、龍太に対する思いは、全て――

 忘れなくちゃいけないんだ。


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