プレイボーイ×天然な幼なじみ



 そっぽを向いた梨桜が、

「あ!」

 声を上げて、空を指さした。

「ん?」

 俺は梨桜の指先を見た。

 ドーンッと大きな音。

 赤い花火が闇色の空を照らした。

「花火だ!」

 梨桜がはしゃぐ。

 そのはしゃぎ様は小学生か幼稚園児みたいだ。

「ねぇねぇ、花火って綺麗だね!」

 笑顔がいつもより眩しい。

 俺は梨桜の瞳を見つめ、

「梨桜のが綺麗だよ」

 梨桜が、顔を真っ赤にした。

 いつだったか、小説にあったんだ。女を口説く時は直球だって。俺は女を口説くのは初めてだから、うまくいくかわからなかったけど、梨桜が次に言った言葉には驚いた。

「…ありがとう」


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