プレイボーイ×天然な幼なじみ



「きゃぁぁぁぁぁあああっ!」

 第一関門で、梨桜の大絶叫が屋敷内に響き渡った。


          ★

 お化け屋敷を出たとき、俺は正直言って、死にかけだった。

 怖かったからじゃなくて、梨桜が近かったから。

 最終的には、背中に抱き着かれて、好きな女がそんなことしてくるもんだから、この上なく緊張した。

「うあぁぁぁぁ…っ。怖かったぁぁぁ」

 梨桜が俺から離れて、屋敷の出口でへにゃ〰〰って座り込む。

「大丈夫かよ」

「こ、腰抜けたぁぁぁ」

 俺はしゃがんで、梨桜に背中を出す。

「?」

「乗れよ」俺は梨桜の顔を見た。「おんぶしてってやる」

 そのとき、一番大きな花火が空に打ちあがった。


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