プレイボーイ×天然な幼なじみ



 誰と話してるのかな?

 私は、龍太が話し終えるのを待つことにした。

 別に少しくらいなら時間が過ぎても大丈夫だし、もし大事な話してたら、邪魔しちゃ悪いじゃん?

 私はそう思った。――そう思ってた。

 龍太の口から、その名前が出てくるまでは。

「あ、そうだ。今度さぁ、いつ会えるかな?――ん?だってさ、愛梨(アイリ)の事情だってあるだろ」

 龍太の声が、聞こえた。

 …愛梨って、誰?

 私が知らないだけで、龍太には他にカノジョがいるの?

 底なし沼に落ちていくような気がした。

 時が停まったような気がした。

 知らないうちに、涙が頬を伝っていた。


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