プレイボーイ×天然な幼なじみ
佳主馬SIDE
廊下に出ると、ドアの裏側に立っている龍太がいた。
龍太は俯いたまま、何も言わない。
「…お前が姫をいらないんなら、俺がもらう」
龍太が、顔を上げた。
「バッ――んなわけ!」
龍太が、俺を見た。その顔は泣きそうで、正直、情けない顔だった。
プレイボーイで、何人もの女をあっさり振ってきた男だとは到底思えない。
「情けねェツラだな。薄情者だとは思えないぜ」
俺の言葉に、龍太は何も言わない。
梨桜が俺と付き合いだしたことに、相当堪えているようだった。
「俺は、梨桜のことが好きだ」
龍太が、小さな声で言う。
「姫を泣かせたくせに、よく言うな」