プレイボーイ×天然な幼なじみ
制服で選んだ女子は多かったみたいで、試験のときに女子の数には驚いた。天空の城ラピュタの、ムスカになった気分だったよ。「人がごみのようだ」みたいな。
「梨桜、お前が起きるの遅いから、あと五分だぞ!」
龍太が言った。この話はスルーしまぁす。だって、都合悪いから。よく言うじゃない?都合悪い話は聞こえないふりだって。
「ったく、ムカつく」
龍太は言うなり、私の右手を掴んだ。
「待ってよ!手を放して!!」
私が叫んでも、龍太は聞こえないふり。やっぱり、皆、都合が悪い話はスルーみたいだね。
龍太の手は大きい。背が高いから、大きいのも普通なんだけど、私の手は小さいから、お父さんと手を繋ぐのって、こんな感じなのかな、って思ってしまう。
私のお父さんは、私が生まれてすぐに事故で死んじゃったから、父親の存在がどんな感じなのかを私は知らない。
「ほら、走るぞ」
「ぁぎゃあああぁぁぁぁっ!」