プレイボーイ×天然な幼なじみ



 制服で選んだ女子は多かったみたいで、試験のときに女子の数には驚いた。天空の城ラピュタの、ムスカになった気分だったよ。「人がごみのようだ」みたいな。

「梨桜、お前が起きるの遅いから、あと五分だぞ!」

 龍太が言った。この話はスルーしまぁす。だって、都合悪いから。よく言うじゃない?都合悪い話は聞こえないふりだって。

「ったく、ムカつく」

 龍太は言うなり、私の右手を掴んだ。

「待ってよ!手を放して!!」

 私が叫んでも、龍太は聞こえないふり。やっぱり、皆、都合が悪い話はスルーみたいだね。

 龍太の手は大きい。背が高いから、大きいのも普通なんだけど、私の手は小さいから、お父さんと手を繋ぐのって、こんな感じなのかな、って思ってしまう。

 私のお父さんは、私が生まれてすぐに事故で死んじゃったから、父親の存在がどんな感じなのかを私は知らない。

「ほら、走るぞ」

「ぁぎゃあああぁぁぁぁっ!」



< 3 / 338 >

この作品をシェア

pagetop