プレイボーイ×天然な幼なじみ



 なんだか嫌になって、私は家を飛び出した。

「千花ちゃん!?」

 背中に、母さん――名前は希実(キミ)さん――の言葉を聞きながら。

 家を飛び出して、でも当てがなくて私は近所の公園に入った。

 公園のベンチには、見覚えのある男子が座っていた。

「…」

 啓太だった。

 啓太は俯いていて、からかってやろうかと近づいてみて、私は気付いた。

 啓太は泣いていた。

「……千花かよ。俺が泣いてんの、変か」

 私に気付いた啓太が、私を睨みあげて言う。私は、首を横に振った。

「そんなことない」

 珍しいなとは思ったけど。だって、あの啓太が泣いてるんだよ?上から目線で、すごくモテて、悩みなんかないって思ってた。

「なんで泣いてるの?」


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