プレイボーイ×天然な幼なじみ



 そう言われても、曇った私の心は晴れない。

「…梨桜ちゃん、君にとって龍太はただの幼なじみじゃ、ないんじゃないの?」

 私は、「え…?」と声を漏らした。

「龍太がただの幼なじみだ、って言うなら、それを証明しろ」

 佳主馬くんが、低い声で囁いた。

「証明?」

 私が聞くと、佳主馬くんは「そ」と追って、私の顎を掴んだ。

「ちょっ…!」

「キスしろ」

 佳主馬くんの唇が近づいてくる。

 重なる、そう思ったとき、乾いた音が響いた。


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