ヤンキーくんに狙われて!?
「ああ〜…怖かった…!」
彼らの姿が見えなくなった所まで来て、漸く私の体から緊張がとれた。
「梓、ビビりすぎ。」
琉奈がクスクスと笑って言った。
「だってぇ…あの仁科 恭平だよ!? 怖いに決まってんじゃん…。」
思い出して身震いする私に、琉奈はクスクス笑いを止めない。
「でもかっこよくない?仁科ってさぁ。
あいつが有名なのって喧嘩が強いからってのもあるけど、それ以上に超イケメンだからね〜。」
琉奈は一人で納得してるけど。
私にとって仁科は恐怖の対象でしかない。
…いやまぁ、言う程関わりがあるワケでもないし、一概に怖い怖いばっかり言っててもダメだけど。
平凡な高校生活を送りたい私が関わったらいけない部類の人間だということは判るのだ。
「まぁでも大丈夫じゃない?あっちもあたし達に興味なさそうだったし、こっちから関わらなきゃいいだけじゃん。」
「…そうだよね!」
……この時は、まさか私の『日常』がいとも容易く奪われることになるなんて、私も琉奈も知らなかった。