ヤンキーくんに狙われて!?
「………」


「………」



寝ぼけてるのか焦点の合わない目をゆるゆると私の方に向け、

それからじっと私の顔を見つめる。



「………」



蛇に睨まれた蛙の如く動けない。



どうしよう…。



早くこのゴミ袋を置いて帰りたい…!



なのに、そんな私の願いとは裏腹に、私の脚は全く動いてくれない。



だから、その場でただ仁科の視線に耐えるしかなかった。



「…………誰。」



しばらく私を見た後、漸く仁科が口にした言葉がそれだった。



「…あっ…えっ、と…。」



咄嗟に何か言おうとするも、言葉が出てこない。



誰、と聞かれたから普通なら自分の名前を言うんだろうけど、この場合は何か違う気がする。
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