ヤンキーくんに狙われて!?
「………」


「なぁ、誰?」



私が誰だろうとあなたには関係ないでしょ!



…なんて言えるワケもなく、オロオロとするしかできない私。



そんな私を仁科は表情を変えずにただ見ている。



早く…!


早くこのゴミ袋を置いて帰りたい──…!





「……っゴミ袋…!」



私の切実な思いが我慢できずに放出されたかのように。



とんでもない言葉が、私の口から飛び出してきた。




「……………あ?」




仁科の低い声に、ビクッと体が縮こまる。



わ──私、何言ってんの…!



いくらなんでもやっと発した単語が『ゴミ袋』とか…。



しかもあの仁科相手に…。



ど、どうしよう…!





「……ゴミ袋、置きに来たワケ?」


「へっ!?」



一人パニックに陥っていた私に投げ掛けられた仁科の言葉。



でもそれはますます私をパニックにさせた。



「えっあのっ…そのっ!」


「……落ち着けっつーの。」




なんだコイツ、みたいな顔をした仁科が立ち上がり、こっちに近づいてきた。



──ちょっ、待っ…!



心の叫びが仁科に届くことは当然なく、一気に距離を縮められた。



鋭い瞳が、少し高い位置から私を見下ろしてくる。





あ…。



私、この目、苦手だ。



なんか、怖い。



さっきまで感じていた恐怖とは違う種類の『怖い』。





「……何見てんの。」


「…えっ!?」




仁科の声に、ハッと我に返る。



ついガン見してしまった…!



「あの、ごめんなさいっ…。」


「別に。怒ってねーし。」



怒っていないとしても、その無表情は怖いです…。
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