毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
8・トマト
大塚さんは、目の前に置かれたパスタのトマトを見ながら、一瞬だけ、うっとり目を細める。

トマト、好きだったのかな。

それならきっと、このパスタ気に入ってくれるだろう。

「好きなんですか?トマト。」

軽い気持ちで、俺は聞いた。
細いカッペリーニをくるくるとフォークに巻きながら。

「はい、好きです。」

嬉しそうな、笑顔。
やっぱ彼女は笑ってた方がいい。

でも確かに、松岡の言った通りかもしれない。
誰かに似てる気がするんだよな・・・。
今まで、眼鏡かけてたから、気付かなかったのか?

芸能人とかじゃなくて、もっと別な・・・ダメだ、思い出せない。


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