毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
お。

デザートコーナーに、水ようかんが並んでる。

これが並ぶと、夏!って気分になるんだよな。
俺はなんとなく水ようかんを手にとって、レジ待ちの列に加わる。

もちろん瑞希さんの担当するレジだ。

彼女のレジ打ちは速くて正確なのだと、何かの会話の時に、一緒にレジにいた女性から聞いた。
ぐんぐんと、列が解消されていく。
ついに俺の順番が回ってきて、瑞希さんの眼が俺を捉えた。

「あ、伊東さん。」
「お疲れ様。」

レジを打ちながら、瑞希さんは俺に笑いかけてくれる。

「土曜日、ありがとうございました。」

俺だけに聞こえるぐらいの小さな声。
たぶん、あの“伊東一派”とか言うのを警戒しているんだろう。

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