毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
丁寧でも、普通でも、やっぱり緊張するのに変わりは無い。
それを気付かれないようにしながら、俺は会話を進めていく。

「うん。なんか、葉っぱ巻かれてるよな。涼しげでいい。」

切り分けられた四角い水ようかんにはだいたい、何かしらビニールの葉っぱが巻かれている。

俺が今手にしているのもそうだ。
ギザギザの、どっかで見かけたような葉っぱが巻かれていた。

「アジサイの葉ですね。」
「アジサイかー。あれって、土が酸性かアルカリ性かで、色変わるんだっけ?」

そんな話を聞いたのは、いつのことだったか。
誰から聞いたのかも、忘れるぐらいに、昔の事。


「はい。一般的に、酸性なら青。アルカリ性なら赤って言われてます。」


水ようかんを見つめあって、俺達はアジサイの話をした。

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