毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
「お疲れ様です。」
話しかければ、驚いたように彼女は振り向いた。
「え・・・あの・・・」
「先日は、ビニール手袋をありがとうございました。」
努めて、笑顔で。
内心緊張しているのを、知られないように。
「ビニール手袋?」
忘れてしまったのだろうか。
ちょっとショックだ。
「あー・・・ほら、ポトス切ってたんだけど・・・」
「ああ!!」
思い出してくれたようだ。
ほっと胸をなでおろす。
「すみません、私人の顔覚えるの苦手で。」
白い肌を染めながら、彼女は頭を下げた。