毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
っつーか、“私達”って、なんだ。
達ってつくってことは、倫子一人じゃないってことだよな。

「聡介が売店に入り浸ってて、あの地味なオバサン落とそうとしてるって。」

俺の行動が逐一見られているようで、気持ちが悪い。
誰だって、プライベートな事は守りたいはずだ。
なのに、俺にはそれすらないってことなんだろうか。

「こないだ、デートにもいったでしょ?私が座ってたはずの、聡介の助手席に乗せて。」

倫子の声も、

話し方も、

まとわりつく香水の匂いも。

全てが今の俺には気持ちが悪かった。



「あそこはあたしの場所なの。誰にも渡さない。」



可愛らしい顔に、刺々しい表情。

ああ、本当に、バラだ。
瑞希さん風に表現するのであれば、柵に絡みついて咲くバラ。
トゲが鋭くて、元あった柵に近付く事は出来ない。

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