毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
今日こそは売店に行こう。
そう思っても、昼休憩にはなんとなく行くのが億劫になった。
会えば、何をどう話していいのか分からない。

「今日も食堂か?」

北村が俺に、ため息混じりの声をかける。
あの後の顛末を詳しくは話さなかったが、俺が売店に行かなくなった事で、なん
となく察してくれたようだ。

俺はデスクから立ち上がって、携帯を手に歩き出す。
それに続いて、北村も歩き出した。

「もう、いいのか?」

何がとは、言わない。
言わなくても何を意味するのか、分かる。


「いいわけ、ないだろ。」


いいわけなくても、会えないし、話せないし、八方ふさがりだ。


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