毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
ガイド終了の時間が、迫ってた。
未だ真剣に探す俺に、きのこ博士が覗き込んで声をかける。


「どうして、そんなに真剣なんですか?」


毒を持つのなんて、皆嫌っているのに。

そうだ。

毒を持ってたら、誰も近寄らないだろう。
でも、俺はその毒に、近付きたいんだ。

大塚瑞希って、毒に。


「俺は、見たいんです。・・・彼女の、笑顔が。」


今日初めて会った人に、何を言っているんだ、俺は。
眼が合ったきのこ博士は、穏やかに微笑んで俺を見つめた。

まるで瑞希さんに見つめられているみたいで、疲れた脳味噌が錯覚を起こす。


「好きなんですね。」


たとえその意味が、俺の気持ちと違うモノでも。


「好きですよ。大好きなんです。」


皆が彼女の毒を避けても、俺は、それが好きなんだ。
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