毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
瑞希さんはガイド仲間に戸惑いの視線を向けて、彼らが優しく頷くのを見届けてから。
静かに俺の方に歩いてきた。

「こっち。」

歩き出した俺達の背中に、興味津々の小学生や、大人の参加者の視線が刺さる。

見せもんじゃないと言いたいが、手遅れだ。
開き直って、今この状況に集中するしかない。

俺の一歩後ろを歩く瑞希さんの気配を感じながら、ドクツルタケの元に急いだ。

その場所には、きのこ博士はもういない。

気を利かせてくれたんだろうか。
そうだとしたら、とんでもなく親切な父親だ。

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