毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
きのこ博士と聞いて、瑞希さんは少し悲しそうな顔で微笑む。

蝉の声が、遠く聞こえる。


「・・・あんな父親で、びっくりされましたよね・・・。」


あんな父親って、きのこ博士のことか。

「びっくりは、したけど・・・。」
「ですよね・・・お父さん、ほんときのこしか見えてなくて・・・。」

ドクツルタケを見つめながら、瑞希さんはゆっくりと立ち上がる。
なんでそんなに、きのこ博士の事を寂しそうに言うんだろう。

やっぱ、きのこ>娘だからか?

「でも、子供の話、すごく嬉しそうに話してたよ。」

俺のその言葉に、瑞希さんは小さく溜め息を吐いてから、こっちを向いた。


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