毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
君の不安を取り除きたい。
その一心で、俺はこの先の言葉を、君に伝えよう。


「・・・俺。」


父親うんぬんよりも。
もっと、大切な事がある。


蝉が、ぴたりと鳴くのを止めた。

熱い風が、木々の間を通り抜ける。

今しか、無い。






「瑞希さんが、好きだから。」






蝉がまたすぐ、鳴きはじめた。

熱い風は、止まった。

瑞希さんの笑顔は、無い。

目を見開いて、俺の事をじっと見つめて。
言葉も無く、ただ見つめ合う。


< 213 / 437 >

この作品をシェア

pagetop