毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
なんともこの場を離れがたい雰囲気なので、気まずいながらも、俺は彼女の次の言葉をじっと待った。

さっきまで遠くに聞こえていた蝉の声なのに、今はやたら耳にうるさい。

うつむいたまま、拳を握りしめて。
そして、意を決したように、瑞希さんは顔を上げた。

その顔は真剣で、いつになく熱っぽい眼をしていた。





「伊東さん、ドクウツギなんです!」





・・・は?





思わず間抜けにぽかんとしてしまった。

俺が、ドクウツギ?

君が今見つけた、猛毒の植物??

何が何だかわからなくて、俺はただただ目を見開くばかり。


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