毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
いつしか車は、主要道路を抜けて、車通りの少ない山道を走りだす。


快適なスピード。


適度なカーブ。


クラッチを切りながら、隣の彼女に声をかけた。

・・・俺にまで伝わってくるぐらいに、緊張しっぱなしなんだよな・・・。
さっきから会話が、ほとんど無い。

「あの、瑞希さん。」
「は、はい!なんでしょう伊東さん!」


「その、伊東さん、じゃ、なくてさ。名前で呼んでほしいんだけど。」


中学生か俺は!
でも、なんか他人行儀で寂しいんだよな。

「へ?!あ、あの・・・伊東さんじゃダメですか?」
「駄目じゃないけど、名前のが嬉しい。」
「ぜ・・・善処します・・・。」

その答えを聞いた後、俺は見晴らしのいい場所で、車を停める。
< 234 / 437 >

この作品をシェア

pagetop