毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
そんな俺をよそに、瑞希は笑って頷いた。


「よくあることです。私、夜中に突然、本屋さんに行ったりするので。」


い、意外だ!

夜遊びとかするタイプじゃないと、勝手に思い込んでた。

風呂上がりなのかノーメイクの瑞希は、いつもよりも幼く見える。
眼鏡、かけて無いせいもあるかもな。
髪も縛らずに、おろしてるし・・・雰囲気が違って、それがまたイイ。

「伊東さんこそ、お疲れなのに大丈夫ですか?」

「大丈夫。俺も、会いたかったし。」

車の中じゃなきゃ、抱きしめたいぐらいだ。
せっかく会えたのにそれさえ出来ないのが、少し厳しい。


「この場でイイ?走り出すと俺、連れ去りそうだけど。」


おどけて言えば、気持ちは軽くなるんだろうか。
本当はもっと、ゆっくり話せるところに行きたい。



「連れ去りでも、誘拐でも、して下さい。」



瑞希は、照れ臭そうに笑った。

そんなこと言われたら、調子に乗ってしまう。


俺は何も言わず、エンジンをかけた。

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