毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
「なぁ、毎日あんな感じだったのか?」
車の中で顔だけ向かい合う。
街灯に照らされた瑞希の顔が、悲しげに微笑んだ。
「いえ、売店にお客様が居ない時だけです。」
「・・・おばちゃん、何も言わないのか?」
「友達だと、思わせてるみたいで。」
そういうとこ、倫子は卑怯だ。
膝の上に置かれた瑞希の右手を、俺は左手で握りしめる。
シフトレバーの事を、初めて邪魔だと思った。
「ほんと、ごめん。俺のせいだ。」
俺と付き合わなかったら。
俺がもっと、倫子ときちんと話をつけていれば、絡まれる事は無かっただろう。
「大丈夫ですよ。慣れてますから。」
「いや、でも・・・さ。」
慣れてるって・・・こんな事、慣れたらダメだ。