毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
夜だから熱気は抑えられているが、それでも暑い。
少し汗ばんだ俺に比べて、瑞希は涼しそうな顔をしていた。

「その花、見た事ある。よく、突っついて遊んだ。種はじけるヤツだよな?」

夜だから花は開いていないが、特徴のある花だ。


「はい、ホウセンカです。」


あ、そうだそうだ。

思い出した。

小学校とかの花壇で、よく見かけた。
早く突っつかないと、誰かに先を越されてしまう。
そんな遊びに使ってた花だ。


「私も、よく遊びました。花びらで爪が染められるんですよ。」

「やっぱ、女の子だ。マニュキュアみたいだな。」

「いつの間にか、やらなくなりますよね・・・そういう、遊びも。」


何かを懐かしむように、瑞希はホウセンカを見つめる。
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