毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
その横顔が少し寂しげで、俺は横に並んでしゃがんだ。


「大人になるって、そう言う事なのかもな。」

「そう、ですね・・・大人に、なったって事なのかもしれません。」

「でもさ。遊んだ事は、忘れて無い。」


ハッとした表情で、瑞希は俺に顔を向ける。
俺はホウセンカを見たまま、その視線を浴びた。


「忘れてません。それに、また・・・子供に伝えたいと思ってます。」


視線が外れて、一緒にホウセンカを見つめる。
公園の街灯は、花壇から少し遠くて、薄暗い。
昼間はうるさく鳴いてたセミも、今は静かだ。

触れたくなる、距離。

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