毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
瑞希は手に持ったスケッチブックを恥ずかしそうに閉じて、立ちあがった。

ジーンズにパーカーの、ラフな格好。
出掛ける気が無かったのかと問いたくなるぐらいに、メイクも薄い。


「声をかけて下されば良かったのに。」


あれ?

てっきり怒られると思った俺。

目の前の瑞希は、いつもの微笑み。
・・・和希君、『姉、激怒してましたけど』とか言ってなかったか?!


「瑞希、怒って無いのか?」

「どうしてですか?」


質問をしたら、質問が返ってきた。
しかも、心の底から不思議そうな顔で。

「・・・や、昨日さ、二日酔いでデート出来なかったし。」

わざわざ怒られるような事を思い出させるのって、ものすっごい微妙な気分だ。

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