毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
ムラサキのくせに、白い。

どこにでも生えていそうな、雑草に見えてしまうが・・・こんなに嬉しそうなんだ。

珍しい毒草に違いない。


「昨日ムラサキが咲いたって、温室にいた和希君・・・あ、弟なんですが、電話
終わろうとした時に呼ばれまして!」


それで慌てて切ってしまったんですよ、すみません。と、瑞希は照れ臭そうに笑う。


なんだ、怒って切ったわけじゃないのか。
ちょっと安心した・・・じゃ、なくて。


ってことは、和希君は俺に嘘を吐いた事になる。

彼が俺に嘘を吐きたくなる理由って、なんだ?
少しだけ考えてみるが、全く分からない。

からかったってことなんだろうか。あんな、冗談も言わないような無愛想な顔で。
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