毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
俺達は車に乗って、暑さで揺らぐ道路を見ながら、渋滞にハマっている。

このあたりは地方から出てきている人が多いので、いつもよりはマシな渋滞だ。

瑞希は出掛ける前にマンゴーを包んでくれたから、蒸し風呂状態になる車内にそれをおいて出掛ける事も出来ないので、とりあえず俺の家に向かっている。

沈黙は続いていて、ハンドルを握りながら、俺は必死で会話のきっかけを探した。


「そういえばさ、瑞希は、何の教科担当なんだ?」


瑞希の部屋の本棚を思い出し、俺は緊張しながら話しかける。
渋滞中とはいえ、ハンドルを握っているので、顔は分からない。


「化学とか、生物?」





「いいえ、農業です。」





「農業?!」


驚いて顔を向けてしまったが、すぐに戻す。
少しだけ見えた彼女の顔は、笑っていた。
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