毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
っていうか、農業って・・・想像つかないんだが・・・意外過ぎる。
それで本棚には農業関連や園芸関連の本が並んでたんだな。


「農業高校から、農業大学に進みました。」


俺の脳内に、楽しそうに畑で作業する瑞希が描かれた。

でも、何で農業大学から、工場勤務に就職したんだ?
最初の頃の疑問が、こんなところから蘇った。

「農業関連の仕事に、就かなかったのか?」

少し考えるような沈黙の後、瑞希は口を開く。


「はい。好きな事を仕事にするのが、怖かったんです。」


正直、瑞希の考えが俺には分からなかった。

俺は大学で機械システムを学んで、開発をしている、いわば好きな事を仕事にした人間だから。


少し進みはじめた渋滞。
ギアは1速のまま、少しずつ進む。


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