毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
「きのこ博士ほど、好きな事を仕事に出来て、しかも成功してる人って、なかなかいないもんな。」

あの人はきっと、他の仕事には就けないだろう。
誰が見たって、そう思うはずだ。


「はい。父を見ていると、不安だったんです。あんな風には、絶対なれないから。」


瑞希にとって、きのこ博士は大きなコンプレックスになっていたのか。

「そのうち、弟は薬剤師になって。なんか、羨ましくて。」

薬剤師はなるのが大変だろうに。
和希君、瑞希に対してものすっごい冷たいが、頭は良いんだな。

弟の事を思い出したのか、瑞希は小さく溜め息を吐く。


「和希君、昔はあんな風じゃなかったんですが・・・。」


“あんな風”が、どんなふうかすぐに分かってしまうぐらい、あの発言は激しかった。

身内だからなのか、なんなのか。

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