毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
あまり珍しくない光景だが、彼女が綺麗というから、綺麗に見えた。


「マリーゴールドにも毒があったりするのか?」


和希君がどう言おうが、俺は君の毒草の話が聞きたい。
あの、輝くような笑顔に会いたい。
そんなさびしそうな顔をしないで欲しいと、素直に言えたら良いのにな。

瑞希は苦笑しながら首を横に振った。
あれ・・・違うのか。



「いいえ、無いですよ。」



マリーゴールドを見つめながら、瑞希はしばらく黙っていた。
その横顔が何かを考えているようだったから、俺も話しかけるのをやめる。

珍しいな。

瑞希が見つめるものに、毒が無いなんて。

俺は空いた左手を、瑞希の右手に重ねた。
驚いたようにこちらを向いてから、瑞希は少し頬を染めて、また花壇を見る。



「やっぱり、私・・・毒草の話しかしてないんですね・・・。」



え?!
もしかして、和希君に言われた事気にしてんのか?!

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