毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー

「あ、どうぞ上がって。」

「は、はい!お邪魔します。」


声をかけたら驚いたように体をピンと跳ねさせ、瑞希は靴を脱いで揃えてから上がってきた。

さりげなく荷物は俺が奪い、誘うように部屋へと先に歩く。
そんな俺の背中を、追いかけてくる足音。
短い廊下の先。
リビングのドアを開けようと立ち止まった俺。


とん。


と、背中に軽い衝撃。
掴まれたTシャツから伝わる、わずかな体温。

驚いて振り向くと、うつむいて震えながら、瑞希が唇を噛んでいた。


え?

俺なんかしたか?!


いや、何もしてないと言い切れる。


「瑞希?」


何かあったとしか思えないほど、様子がおかしい。
名前を呼ばれて顔を上げた彼女の目には、涙が一杯に溜まっていた。

「すみません!あ・・・えと・・・その、」

必死でごまかそうとして笑うのに、上手く出来ないみたいで。

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