毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
植物園は、夏の花が満開だった。
窓が開いていてもむっとするような温室の空気の中、瑞希は一人生き生きとしている。
昼からってこともあって、彼女を車に乗せて、着いたのは隣の市の植物園。
湿度が高く、ついでに気温も高いから、マメに水分補給をしなければ倒れそうだ。
「ほら、見てください!ヤエヤマアオキです!!」
瞳をキラキラさせて、指を差す。
でも、背の高い木が温室狭しと生えていて、指を差されてもどれがそのヤエヤマアオキかわからない。
ただ、なんとなく・・・臭う。
「あ、実が落ちてます。」
にこやかに“踏まないように気を付けてくださいね”と言われたが、こいつが相当臭い。
近付くと鼻が利かなくなりそうなぐらい、変な臭いだ。
「これ、何の実?」
その臭い実から少し離れた位置に立って、瑞希に尋ねると、胸が高鳴りそうなぐらいの笑顔で答えてくれた。